海外旅行での教訓
12月30日から1月2日にかけて香港に家族旅行へ行ってきた。
ホテルから新年を告げる花火も見れたし,ちょっと贅沢な食事もした。
たまにはこういうお正月もありだろう。
両親に感謝である。
さて,海外旅行なので当然飛行機に乗っていくわけだが,静子は飛行機でいろんなことを起こしてくれる。
NYへ静子と2人で行ったときもそうだった。
機内食を運ぶCAに,ヌードルかキッシュかを聞かれ
「キッシュ!」と力強く要求を伝えるも,キッシュはすでになくなっており追加のものを解凍中だという。
CAに「待てるの?」と聞かれ,小心者の母は蚊の鳴くような声で「じゃあ,キッシュ…」と答えた。
このとき静子は強く自分に言い聞かせた。
「海外では強気でいかないとダメだ」と。
さて,今回の香港旅行での帰りの飛行機でのことである。
「ちょっと私の後ろの席にタカアシガニが座ってるんだけど」と自分でタカアシガニのポーズをとりながら私に訴える。
頭を垂らし両手を大きく広げている。
隣に他人のおじさんも乗っているので正直やめてほしい。
それでも何のことかと思い後ろを見ると,静子の席の後ろに20代後半ぐらいの日本人の若いお兄さんが座っていた。
彼は背が高く,狭いエコノミー席に座ると前の静子の席を膝で押してしまうのだ。
彼もわざとしているのではないが,不満な表情を見せる静子。
静子の訴えはまだ続く。
「背中がマッサージチェアみたいにボコボコするんだけど」
もう一度言うが,彼はわざとしているのではない。
ただ脚が長いだけなのだ。
静子の表現力とお兄さんの長い脚に感心しながらも,私はのどが渇いていたのでCAのカートに乗っている飲み物を見ながら,何にしようかと思案していた。
私が飲み物を頼んだ後,続けて静子が頼む。
「グリーンティー」
確かに静子はそう言った。日本語発音ではっきりと。
すると手渡されたのはなんとオレンジジュースであった。
日本人が「ウォーター」と言って,「ウオッカ」を渡されるのは良く聞く話である。
これは発音を考えるとわからないでもない。
しかし,静子の場合はどうだろう。
天と地ぐらい明らかに違うものを手渡されている。
が,ここは静子。ニューヨークの教訓を活かすときがやってきた。
今こそ自分の主張をはっきりと通すときである。
どうなるのかを見ていると,タカアシガニのときと同じ不満そうな顔を私に見せるだけで何も主張しない。
タカアシガニのまねを知らないおじさんの隣でできるのだから,飲み物を交換するぐらいできるだろうに。
とにかく,今年も静子にとって良い年になりますように。